「しっかりしなきゃ」
「もっと頑張らなくては」と、
つい肩にチカラが入っていることはありませんか?

わたしも常に歯を食いしばっていて、「歯がすり減ってますねー」と歯科で指摘されたことがあります…
そんなときに心をふっと軽くしてくれるのが、タデウス・ゴラス『なまけ者のさとり方』。
「さとり」って、あやしくない?
難しいことはごめん!
説教とかされたくないけど…
そんなふうに感じたあなたも、ぜひ『なまけ者のさとり方』の世界を覗いてみてください。
わたしが働きながら大学で心理学を専攻するきっかけにもなった一冊であり、今もたびたび読み返すこの本。
薄くて軽い本からはじまる、広く深い癒しが待っています。
BGMのように、さらさらと流れていく音楽みたいな一冊をご紹介します。
『なまけ者のさとり方』書籍データ


書籍名:なまけ者のさとり方 《増補改訂新版》
著者:タデウス・ゴラス
訳者:山川紘矢・亜希子
出版社:地湧社 初版1988年・増補改訂新版2014年
余談ですがまあまあ長い期間、「タデウス」を「タウデス」だと思ってました。ごめんなさいタデウスさん。
『なまけ者のさとり方』との出会い それは大きな勘違い
この本との出会いは20年以上前、友だちの家の本棚でした。
『なまけ者のさとり方』という背表紙と目が合った瞬間に思ったこと、それは、



え、どういうこと?
感じわる…!
でした。
そうです、ものすごく大きな勘違いをしました。
本のタイトルの意味が、
「お前がどんなになまけ者かを、わからせて(さとらせて)やる」
だと思ったのです。
「自分がいかになまけ者であるかを、さとれ=自覚しろ」という攻撃だと受け取り、拒否反応を起こしました。



当時の自分の精神状態をよく表していて、ちょっとだけほろ苦い気持ちになります。
緊張と自己嫌悪に満ちていて過敏で、書名さえも針のようにちくちくと自分を刺す、そんな毎日を送っていた頃。
この本との出会いは、必然だったのかもしれません。
その後あまりにも繰り返しこの本を目にするので、本屋さんでしぶしぶ手にとって開いてみたら、自分がものすごい誤解をしていたことに気づきました。
とてもやさしい本だったのです。
『なまけ者のさとり方』感想
スペース、エネルギー、かたまり
一つひとつの生き物の基本的な営みは、拡張することと収縮することです。広がることと縮むことと言ってもよいでしょう。
第一章「私たちは誰か」
わたしたちが拡張した状態を「スペース」、収縮した状態を「かたまり」、そしてその状態を行き来する「エネルギー」としてとらえ、この本はすすんでいきます。
これだけで糸口をつかむことができます。
この本と出会ったときのわたしは「かたまり」の状態でした。
身のまわりのありとあらゆることを、自分への攻撃のように感じていたのです。
もしすごく気楽でほわほわしていたら、「背表紙が自分を責めてくる」なんて、思いつきもしないですよね。
『なまけ者のさとり方』がすごいのは、すべてを受け入れてくれること


収縮した状態のときに、たとえば、
「それでもあなたも愛されています」とか、
「すべては平等です」とか、どんなにやさしく言われても、
なかなか素直に聞くことはできないし、いいから放っておいてほしい、となりがちです。
でもこの本は、いつのまにかそんな自分のなかにいて、もともと最初からずっと一緒にいたように語りかけてきます。
タイトルであんなに拒否反応を示したのに、読みはじめると、
拒否というかたちで自分をガードしなくても大丈夫。
ということがわかってきます。
じぶんからも、いったん素直に受け入れてみる
それでもところどころ
「でも、でもさ、、」
と言いたくなるような胸の痛みがよぎることがあります。


私たちはもっとのんびりしてもよいのです。この宇宙には、秘密など何一つありませんし、誰かのことだけ忘れられてしまったり、見捨てられてしまったりすることは一切ないからです。
第一章「私たちは誰か」
仮でもいいから、見捨てられることは一切ないというフレーズを受け入れてみる。
抵抗をなくして読み進めると、見えてくる世界があります。
わたしがあって、すべてがある。
すべてがあって、わたしがある。
一瞬でも、理解や確認などを超えた、こんな感覚がやってきます。
仮でも一瞬でもこの感覚になると起こること
この感覚になると、それまでだったら抵抗したであろうことも、素直に入ってきます。
人がやっていることを否定すると、その行為を自分にも否定することになります。
第三章「楽しい日々を送るには」
逆にいうと、
ゆるすと、ゆるされる
なのかも。
というふうに。
さとりに達する完全な道とは
完全なさとり、そしてそこに達する完全な方法もある、とこの本には書かれています。
実際の本を手にとって、出会ってみてください。
こんなかたにおすすめ
つい自分に厳しくしてしまう
「もっとやらなきゃ」となぜかいつも追われているように思える
くらしを楽しみたい
軽やかな気持ちですごしたい
そんなかたには特に、きっとお守りのような一冊になると思います。
まとめ
『なまけ者のさとり方』は、シンプルなことばで、調和の感覚を思いださせてくれる本です。
読むほどに視界が広がる魅力もあります。
今回実際この記事を書くにあたって読み返し、新たな癒しを感じることができました。
よかったら手にとってこの世界を味わってみてください。